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- アテにできない「寄与分」
私には寄与分がありますよね?
遺産分割案件の相談を受けているとよく耳にするのが、「私は、亡くなった父(母)と同居して、身の回りの世話もしてきました。
当然、他の兄弟姉妹よりも相続分は多くなりますよね?」という質問です。
法律的に構成すると「寄与分」の主張ということになると思いますが、これは、それほど簡単な話ではありません。
寄与分ってなに?
寄与分というのは、簡単に言うと、故人の遺産の増加や減少の防止に貢献があった相続人の取り分を、他の相続人よりも多くするという制度です。
具体的には、
■故人が営んでいた事業を手伝っていた
■故人の療養看護をしてきた
■故人が所有していた賃貸住宅の賃貸管理を行ってきた
等の場合に主張されることが多いようです。
寄与分認定の厳しい現実
ただし、家庭裁判所の実務上、寄与分の認定は厳しく、そんなに簡単には認められません。
これは、親族なのだからある程度面倒を見るのは当たり前で、それを超えた「特別の貢献」があった場合に相続分の増加を認めようというのが寄与分であるという理解が根底にあるからです。
これから始まる遺産分割協議で、貴方が寄与分を主張したい、あるいは相手方から寄与分の主張が出ることが予想されるという場合には、
上記のような家庭裁判所での実務の現状を踏まえた対応が必要と思われます。
つまり、貴方が寄与分を主張したいという場合には、まず、果たして本当に寄与分の要件を満たしているのかを専門家に相談して協議する必要があるでしょう。
満たしているかどうか微妙というときは、他の相続人よりも若干多めに遺産の分配を受けることで妥協し、解決を家庭裁判所に持ち込ませないようにする等の戦略が必要になってくると思われます。
反対に、貴方の相手方が寄与分を主張している、あるいは主張することが予測されるという場合には、早期の遺産分割協議成立にこだわらず、家庭裁判所に持ち込んだ方が得策になる可能性が高いと思われます。