分割協議がまとまらなかった場合、舞台は家裁の調停へ


相続人間で遺産分割協議をしたがまとまらなかったという場合、そのまま放っておく訳にもいきませんので、通常は、裁判所の手続の利用を検討することになると思われます。

遺産分割案件を裁判所の手続で解決する場合、家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行うことになります。



一般的な民事紛争(貸金の返還請求など)のように訴訟という手続ではなく、調停での解決が基本とされているのですが、これには理由があります。
遺産分割事件は親族間の争いですから、できるだけ当事者の方々による自主的な解決に委ねることが望ましいといえます。

そこで、まずは裁判所が間に入った話し合いでの解決を試みることになっている訳ですね。この話し合いが「調停」です。


調停の実際


調停の実際ですが、予め指定された日時に家庭裁判所に出頭し、開始時刻になるまで、待合室で待機します。

因みに、待合室は、調停を申し立てた側と申し立てられた側で別々に設けられています。
ケースによっては、相続人間に深刻な対立がある場合もありますので、お互いに終始顔を合わせることがないように配慮がなされているわけです。

待合室で待機していると、調停委員が呼びに来ますので、調停室に入ります。

基本的には、申し立てた側と申し立てられた側が交代で調停室に入り、 調停委員に対し、自己の希望する分割方法について述べたり、遺産に関する資料を提示したりします。

調停委員は、双方の言い分を聞いて、解決に向けた双方の意見調整を行います。

調停委員は2名で、男女1人ずつでペアを組みます。

担当する裁判官も決まっているのですが、通常は調停委員のみで対応する運用となっており、 最終的に調停がまとまった場合の調停条項の読み上げとか、何か重要な取り決めをする場合にのみ同席するのが一般です。

最初は緊張されると思いますが、何度か出向くうちに調停委員とも顔なじみになったりして、直ぐに慣れます。


弁護士に依頼せず、自分でもできるの?


なお、調停を行うに当たっては、弁護士を代理人に選任することは必要でなく、ご本人でも対応できます。

実際、家庭裁判所の待合室では、ご本人のみで対応なさっている方を良く目にします。
個人的な印象ですが、少なくとも4割くらいは、ご本人のみで対応されているのではないでしょうか。

調停を申し立てる場合には費用がかかりますが、収入印紙代が被相続人1人につき1,200円と安価で、あと若干の郵便切手代くらいです。
ただし、弁護士に委任する場合には、これとは別に弁護士報酬が発生します。