遺産分割協議成立には全員一致が必要


遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が必要です。多数決ではありません。ここが、相続・遺産分割の難しいところです。

全員一致が必要なので、貴方が「こういう風に分割したい」と思っていても、反対する相続人が一人でもいれば、貴方の意向に沿った分割協議を成立させることはできません。
意見が異なる相続人とどこかで妥協して、お互いが乗れる案を探し出さなければなりません。


相続問題を次世代に持ち越さないために


「あんなやつに譲歩するなんて、冗談じゃない。」と、理不尽な相手の言い分に憤りを感じておられる方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、お互いの言い分が対立したままでは、いつまで経っても分割協議は成立しません。
極端な場合には、解決できないまま貴方に相続が開始してしまい、次の世代に問題を持ち越してしまうこともあり得ます。

貴方の世代の相続問題は、貴方の世代で解決するのに越したことはありません。


妥協の仕方〜優先順位をつけて交渉する


妥協するといっても、何も相手の言い分を丸呑みするわけではありません。

貴方は貴方で、最優先事項とそうでない事項をランク付けして、最優先でないこと・モノは譲歩して、それを相手が受けなければ別の代替案を提示する、それを淡々と繰り返すだけです。

例えば、貴方が遺産中のある不動産に居住しているとか、そこで事業を営んでいる等の理由で、ある不動産を絶対確保したいということであれば、 遺産全体の中での取り分については法定相続分を割り込んでもよいという判断も、時には必要になるでしょう。

急な資金需要があるという場合には、換価に時間のかかる不動産は他の相続人に譲って、金額的に法定相続分に見合わなかったとしても、現金や預貯金等の金融資産を取得する方向で考える必要もあるかもしれません。

相手の意向との隔たりの程度によっては、なかなかスムーズに行かず、ある程度の時間はかかるかも知れません。

しかし、協議成立に全員一致が必要ということは、相手も貴方に了承してもらう必要があるわけで、色々なオプションを提示しあううちに、必ず何かしらの妥協点が見えてくるはずです。


すぐには難しいかも知れませんが、問題を次の世代に積み残さないという、大きな視点で考えて頂くのがよいように思います。